
警備業界M&Aコラム
COLUMN
警備業のM&Aで許認可はどうなる?株式譲渡と事業譲渡で異なる実務を解説
許認可は法人に紐づく──スキームで承継の可否が分かれる
結論:警備業の許認可は法人単位で付与されるため、法人が存続する株式譲渡ではそのまま引き継がれ、事業のみを移す事業譲渡では原則として譲受側に新たな認定が求められる。
警備業法に基づく「警備業認定」は、都道府県公安委員会が法人単位で付与するものです。つまり、許認可は「事業そのもの」ではなく「法人」に紐づいています。この基本構造が、M&Aのスキーム選択において重要な意味を持ちます。
株式譲渡の場合──許認可は法人とともに存続する
結論:株式譲渡では法人がそのまま残るため、許認可を新たに取得する必要はない。ただし、役員や主要株主の変更届出が求められることがある。
株式譲渡は、会社の株式を買い手に譲ることで法人の所有者が変わる仕組みです。法人そのものは存続するため、その法人が持つ警備業認定もそのまま引き継がれます。
ただし、M&Aに伴って以下のような変更が発生する場合は、公安委員会への届出が必要になることがあります。
- 役員(代表取締役・取締役)の変更
- 本店、営業所の所在地変更(統合に伴う移転等)
届出の時期や要件は都道府県ごとに異なる場合があるため、事前に管轄の公安委員会や行政書士に確認することが望ましいです。届出を怠ると、認定の取消事由に該当する可能性があるため注意が必要です。
私が携わってきた警備会社のM&Aでも、株式譲渡を前提にすることで許認可の空白期間を作らずに承継できた事例が多くあります。たとえば、南関東の1号・2号警備とビルメンテナンスを手掛ける約100名規模の会社では、株式譲渡によって許認可も含めて法人を丸ごと上場企業グループに承継しました。現場オペレーションを一日も止めることなく統合が進んだのは、スキーム選択の段階から許認可の扱いを織り込んでいたからです。
事業譲渡の場合──譲受側に新たな認定が必要になることがある
結論:事業譲渡では法人ではなく事業資産を移すため、譲受企業が警備業認定を持っていない場合は新たに認定を取得する必要がある。
事業譲渡は、法人の一部または全部の事業資産を別の法人に移す仕組みです。許認可は法人に紐づくため、事業だけを移しても許認可は自動的には移転しません。
- 譲受企業がすでに警備業認定を保有している場合は、新規の認定取得は不要です。ただし、新たな営業所の開設届出や業務区分の変更届出が必要になることがあります。
- 譲受企業が警備業認定を持っていない場合(異業種からの参入等)は、新たに公安委員会に認定申請を行う必要があります。認定取得には一定の審査期間(一般的に数週間〜数ヶ月)がかかるため、その間の事業継続をどうするかがスケジュール上の課題になります。
スキーム別の許認可の取り扱い

※制度の詳細は都道府県や時点によって異なります。2026年2月時点の一般的な整理です。
実務上の注意点──「許認可の空白」を作らないために
結論:M&Aのスケジュール設計では、許認可の届出・取得にかかる期間を織り込んでおくことが重要であり、空白期間が生じると現場が止まるリスクがある。
警備業は許認可業種であるため、認定のない状態で警備業務を行うことはできません。M&Aの進行中に「許認可の空白期間」が生じると、以下のような影響が出る可能性があります。
- 既存の契約に基づく警備業務が一時的に履行できなくなる
- 元請けや取引先からの信頼を損なう
- 隊員が稼働できない期間が発生し、離職につながるおそれがある
特に事業譲渡で譲受側が新規認定を取得する場合は、クロージング(最終契約締結)のタイミングと認定取得のタイミングを慎重にすり合わせる必要があります。
許認可について心配される経営者の方は多いですが、株式譲渡であれば認定はそのまま存続します。ただし、私の経験上、役員変更届出の見落としが意外と多い印象です。スケジュールの早い段階で行政書士や公安委員会への事前確認を入れることを、いつもお勧めしています。
> 一言アドバイス
> 「事業譲渡のスキームの場合、譲受側が許認可を既に取得しているか否かによって、進め方や所要期間が大きく異なります。その点も踏まえたうえで、候補先を選定する必要があります。」
検討時に確認したいチェックリスト
結論:許認可に関して以下の項目を事前に整理しておくと、スキーム選択とスケジュール設計がスムーズになる。
- 自社の警備業認定の有効期限と届出状況に不備がないか
- 譲受企業が警備業認定を保有しているか(事業譲渡の場合)
- 営業所の新設・移転に伴う届出が必要か
- 管轄の公安委員会への事前相談のスケジュールを確保しているか
まとめ
- 警備業の許認可は法人単位で付与されるため、法人が存続する株式譲渡では認定もそのまま引き継がれる。ただし役員の変更がある場合は役員変更の届出が必要となる。
- 事業譲渡では、譲受企業が認定を保有していない場合は新規取得が必要となり、審査期間を踏まえたスケジュール設計が重要になる。
- 許認可の「空白期間」は現場の停止につながるため、スキーム選択の段階から許認可の扱いを織り込み、行政書士や公安委員会への早期確認を行うことが望ましい。
よくある質問
- Q. 株式譲渡であれば、許認可に関する手続きは一切不要ですか?
- 認定そのものは法人とともに存続しますが、役員の変更が伴う場合は届出が必要になります。
- Q. 事業譲渡で譲受企業がすでに警備業認定を持っている場合はどうなりますか?
- 新規の認定取得は不要ですが、営業所の追加や業務区分の変更など、別途届出が必要になることがあります。譲受企業の既存の認定で事業運営が可能かどうかを、事前に確認しておくことが重要です。
- Q. 許認可の審査にはどのくらい期間がかかりますか?
- 都道府県や申請内容によって異なりますが、新規の認定取得であれば一般的に数週間から数ヶ月程度かかることが多いです。スケジュールに余裕を持たせるためにも、早めに管轄の公安委員会に事前相談することが望ましいです。
- Q. 許認可に関する相談は誰にすればよいですか?
- M&Aアドバイザーに加え、警備業に精通した行政書士、および管轄の都道府県公安委員会への事前相談がお勧めです。特に届出の要件やタイミングは地域差があるため、早い段階で確認しておくと安心です。
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